日本に居住するすべての人が加入しなければならない皆保険制度。その中でも、自営業者やフリーランス、退職者が加入する 国民健康保険(国保) は、会社員が加入する社会保険とは計算方法が大きく異なります。会社負担がないため全額自己負担となるだけでなく、所得だけでなく世帯人数や資産(自治体による)まで考慮されるため、負担が非常に重く感じられるのが現実です。
特に2024年から2025年にかけて、賦課限度額の引き上げや制度改正が相次いでおり、国保加入者にとっては家計への影響を無視できない状況です。今回の記事では、国保の保険料がどのように計算されるのかを詳しく解説し、合法的に保険料を抑えるための 7つの実践的戦略 を、最新の制度に基づき整理してお届けします。
1. 国民健康保険料の計算構造の基本
国保の保険料は、自治体によって細かな計算式は異なりますが、主に以下の4つの要素の組み合わせで決まります。
年間保険料 = 所得割 + 均等割 + 平等割 (+ 資産割)
自治体によって「資産割」がない場合や「平等割」がない場合もありますが、基本的には前年の所得に基づいた 所得割 と、人数に基づいた 均等割 が中心となります。
ア. 所得割:前年の「旧ただし書き所得」が基準
所得割は、前年の総所得金額等から基礎控除(最大48万円)を差し引いた「旧ただし書き所得」に保険料率をかけて算出されます。このため、フリーランスなどで所得が大幅に増えた翌年は、保険料が跳ね上がることになります。
厚生労働省の指針により、近年はこの所得割の比率が高まる傾向にあり、高所得者ほど負担が大きくなる構造になっています。
イ. 均等割と平等割:人数と世帯にかかる固定費
均等割 は、世帯の加入者1人あたりにかかる金額です。赤ちゃんから高齢者まで一律にかかるため、子だくさんの世帯には重い負担となります。平等割 は、1世帯あたりにかかる固定費です。
低所得世帯に対しては、これらの固定費分を 7割・5割・2割軽減 する制度がありますが、一定の所得基準を超えると一切軽減されないため注意が必要です。
ウ. 介護保険料と後期高齢者支援金
40歳から64歳の方には「介護納付金分」が加算されます。また、すべての加入者に「後期高齢者支援金分」が含まれており、これら3つの区分(医療・支援・介護)の合計が最終的な支払額となります。
2. 保険料を安くするための7つの実践的戦略
制度を正しく理解し、適切な手続きを行うことで、重い国保の負担を軽減できる可能性があります。
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任意継続制度の活用(退職直後): 退職後2年間は、以前の会社の健康保険を継続できる「任意継続」を選択できます。国保と比較して安い方を選べるため、退職前に必ずシミュレーションを行いましょう。申請は退職後20日以内です。
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青色申告控除による所得圧縮: 自営業者の方は、青色申告特別控除(最大65万円)を利用することで、国保の計算基準となる所得を直接減らすことができます。これは最も強力な節約術の一つです。
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国民健康保険組合(国保組合)への加入: 文芸美術、建設、医師など、特定の職種には「国保組合」があります。これらは所得に関わらず保険料が定額である場合が多く、所得が高いフリーランスには非常にお得です。
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未就学児の均等割減額制度: 2022年度より、未就学児の均等割額が 5割軽減 されています。これは自動的に適用される場合がほとんどですが、世帯所得の状況によってはさらなる軽減が受けられる可能性もあります。
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非自発的失業による減免申請: 倒産や解雇などの理由で離職した場合、前年の給与所得を 30/100(7割減) として保険料を計算する軽減制度があります。ハローワークで発行される離職票を持って役所に申請が必要です。
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所得の「申告分離課税」の選択に注意: 株の配当金や譲渡益を確定申告すると、その所得が国保の所得割に加算され、保険料が上がってしまうことがあります。増税額と還付額を天秤にかける必要があります。
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世帯分離の検討: 所得の多い人と少ない人が同世帯にいる場合、世帯を分ける(世帯分離)ことで、低所得側の均等割軽減を受けられる場合があります。ただし、介護保険など他の影響もあるため慎重な判断が必要です。
3. 知っておくべき注意点と重要事項
国保は 「世帯主」 に支払い義務があります。世帯主自身が国保に加入していなくても、家族が加入していれば世帯主に通知が行きます(擬似世帯主)。
また、保険料の通知は毎年6月頃に届きます。前年の所得が確定した後に計算されるためです。もし災害や病気などで所得が激減した場合は、役所の窓口で 個別の減免相談 が可能です。放置せず、早めに 厚生労働省のウェブサイト やお住まいの自治体ホームページで詳細を確認しましょう。
最近の制度改正の流れ
- 賦課限度額の引き上げ: 高額所得層の負担上限が年々引き上げられています。
- マイナ保険証への移行: 2024年12月より紙の保険証が廃止され、マイナンバーカードへの統合が進んでいます。
- 出産育児一時金の増額: これに伴い、保険料の支援金分が微増する動きがあります。
おわりに:能動的な管理が最大の節約
国民健康保険料は「税金」に近い性質を持ちながら、自分で手続きをしないと受けられない軽減措置が数多く存在します。「役所が勝手に安くしてくれる」ことはありません。特にフリーランスや退職された方は、自分から情報を取得し、動くことが大切です。
今回ご紹介した 計算方法 と 節約戦略 を参考に、まずはお住まいの自治体の保険料シミュレーターや、日本年金機構 などの関連情報をチェックしてみてください。賢い保険料管理は、健全な経済生活への第一歩です。
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